調査研究

成田空港で第2回地震防災演習を実施
JAL・慶應義塾大学・成田国際空港が連携し、空港防災体制の高度化を推進

近年、巨大地震発生の切迫性が高まるなか、空港は災害時の救助・医療搬送・物資輸送の拠点として極めて重要な役割を担います。特に発災直後の安全確保と初動対応の精度は、被害抑制に直結します。

2025年12月5日、こうした背景を踏まえ、成田国際空港株式会社(NAA)主催の下、日本航空(JAL)と慶應義塾大学が協力し、大規模な防災訓練を実施しました。本訓練は、航空会社・空港・研究機関が連携し、実践的な初動対応の強化を目的としたものです。

また、本訓練は地震学・防災教育などを専門とする慶應義塾大学 環境情報学部の大木 聖子(おおき さとこ)准教授監修の下、大地震発生に伴う被害を想定して作成した独自シナリオを活用しています。空港スタッフはこのシナリオの内容を知らない状態で、大木ゼミの学生30名が迫真の演技で扮するさまざまなお客さまに対応しました。

1.演習の背景

JALと慶應義塾大学は2018年の連携協定以降、国内の複数の空港で防災研究と訓練を継続してきました。2022年に高知空港で2回、2023年と2025年には釧路空港で、そして2024年に成田空港で演習を行ってきました.これらの経験から得られた知見を踏まえ、今年の訓練では内容をさらに発展させています。国際拠点空港である成田空港を対象とした継続的な実施は、全国の空港に展開可能な防災モデルの確立に向けた重要な取り組みとなっています。

2.訓練の特徴

今回の訓練は「命にかかわるような傷病者の情報を的確に伝達・集約すること」「参加者が自ら判断し行動すること」を重視し、以下の特徴を持った実践的な内容となりました。

訓練の様子

(1)ブラインド型訓練の実施
事前に詳細なシナリオを共有せず、参加者がその場で状況を判断して行動しました。

(2)多様な旅客への支援を実践
実際の空港と同様に、

  • 多数の傷病者
  • 氏名のわからない不特定多数の人々
  • 多言語を必要とする旅客

など、幅広い利用者への対応を想定して訓練を行いました。

(3)本部機能を参加者が運用
災害時に最も難しい対処のひとつでもある“情報の優先順位付けなどの整理・的確な伝達・得られた情報の集約”がなされているかを検証するため、参加者自身がエリア内本部の役割も担いました。発災直後の混乱を想定し、どの情報をどの順番で伝えるべきか、実践的に判断力を高める内容となりました。

エリア本部の様子

(4)傷病者の容態変化の把握を強化
傷病者役は時間経過とともに容態変化していく演技をしました。
「歩けていた人が徐々に悪化する」「屋外退避後に体調不良になる」など、難易度を上げたシナリオとし、これを番号管理によって正しく把握できるか検証しました。

多数のけが人に対応する様子

(5)映像での記録・分析
訓練の様子は移動カメラ、定点カメラなどで多角的に収録し、後日分析を行い、防災マニュアルや次回訓練の改善につなげます。

3.訓練概要

  • 実施日時:2025年12月5日(金)14:00~16:00
  • 場所:成田空港旅客ターミナル
  • 参加者:NAA、JAL、空港内テナントスタッフ、慶應義塾大学学生約40名、JAL客室乗務員 他
  • 内容:避難誘導訓練、本部運用訓練、情報伝達訓練、意見交換

今回の第2回地震防災演習は、昨年から得た改善点を踏まえ、難易度・実践度ともに大幅に向上した内容となりました。多様な旅客への支援、情報整理と伝達、本部機能の運用など、災害発生直後に求められる重要なプロセスを実践的に確認できたことは、大きな成果です。

JALは今後も慶應義塾大学と連携し、得られた知見を全国の空港へ展開するとともに、より安全で強靭な空港運営体制の構築に取り組んでまいります。

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